坂口安吾は、「堕落論」、「日本文化私観」、「白恥」、「桜の森の満開の下」、「夜長姫と耳男」などが有名な物書きです。明治39年新潟に生まれ、第二次大戦後10年、昭和30年に脳溢血で没しました。享年48歳。無頼派として有名であり、「反逆」と「堕落」がキーワードです。神田のアテネ・フランセで仏文を学んだ経験からか、「生」、「生活」、「肉体」、「実質」にこだわり、「枯淡」、「諦念」、「侘び錆び」を徹頭徹尾否定します。
私は自分の欲望に忠実である事が「誠実」と言う事だと考えます。己の欲するところを外的要因で為さぬのならば、それは単純に敗北を意味する。この点で、常軌を逸したところには必ず真実が宿り、強靭であれば正義だと思っています。逆に言えば、己の為すところは、己の欲するところである事が必然的な結論になります。絶望は愚か者の結論。坂口安吾は絶望して取り澄ますことを嫌い、七転八倒、顛倒混乱、羞恥の底にもがき苦しむことを望みます。全く同感です。